リフォーム&リニューアル(2001.06セミナー)|有限会社ユネット
建築設備調査隊! 第4号 2001.07.01より

◆◆◆はじめに
   6月20、21、22リフォーム展から
 毎年一度(以前は2年に一度だったらしい)ビッグサイトで、リフォーム展が開かれました。当社も今年はカタログ出品し、依頼されてセミナーの講演を行ってきました。昨年会場に見に行ったときは見学者の立場から、来場者の少なさに、ちょっと寂しい展示会だなと思ったのですが、テーマがテーマだけに、来る人は目的意識があり、遊園地や暇つぶし感覚の人はきっとほとんどいないだろうと思ったものです。

◆◆◆今回、講演のテーマとなった「劣化診断調査報告書の書き方」全文をここに紹介します。
 はじめに
 当社は建築設備の劣化診断を主な業務としており、なかでも空調熱源設備、空調機、ファンコイルなどの空調設備機器、換気設備、衛生機器、消火栓設備及びそれに関連する配管設備、ダクト設備の劣化調査、診断を行っている。劣化診断の報告書には、メ−カー、診断業者、役所、設備業者、設計事務所などにより、各種の形式、書き方が存在するが、分かり易さ、専門性、調査項目や内容と診断結果の整合性など、どれをとっても一長一短が有り、当社では、特にこの点を意識し、工夫を重ねてきた。以下に、当社がこれまでに数多く担当してきた調査・診断業務の経験から、特に重要とすべき箇所、顧客に配慮すべきポイントを掲げる。

1. 調査の目的
 調査、診断依頼の背景にある顧客のニーズは千差万別である。業務を行う際には、それらのニーズをよく理解し、目的、予算によって、機器の全数、全系統(ダクト、配管等)を調査するのか、あるいはサンプル的に抽出調査を行うのかなどを選択し、その後の修理、改修、更新を考慮した結論(報告書)を提示することが重要となる。

【例:顧客のニーズ】
・ビル全体の設備更新計画がある。(単年度計画、複数年度、時には20〜30年計画という場合もある。)
・設備の一部更新計画があり、機器の劣化度にあわせての予算としたい。
・今現在支障があるが、機能上の問題なのか、経年劣化による問題なのかを明確にして対処したい。
・熱源改修計画があるが、燃料の変更や建物の用途、使用形態が変化・多様化しており、これらに適応する対応をしたい。
・その他

2. 最終顧客は誰か(ここが一番のポイント)
 多くの場合報告書は、顧客の担当者から責任者へと手渡され、最終的には役員やトップの判断材料として、稟議書や予算会議の席上の資料として使われる性質のものである。しかしながら技術者や調査員が作成した報告書は、往々にしてデータや数表、グラフ等が羅列された、わかりづらいものとなっており、その説明に時間がかかり、あるいは説明できる者がいないといったこととなってしまう。

 報告書は一度手を離れると独り歩きをする。口頭でどのように内容の説明と注意点を力説しても、その人の手から他の人に渡るときには、もうそんな話はしなかったことと同じとなってしまう。重要なポイントは報告書の冒頭に、そして本文中にも繰り返し指摘することが必要である。 また写真などの視覚に訴える方法を採ることはかなり有効である。しかしここでも、単に撮った写真を載せるだけではなく、どの部分がどの程度、どのように悪いのかの説明が明示されていなければならない。
 機器や配管が劣化、腐食している状態を写真で示しても、それがどの程度の劣化なのかが、相手には見当がつかないという場合は多い。ほとんどの場合において、報告書を見る相手は技術者ではないということを考慮すべきである。

3. 劣化程度と診断結果
 劣化程度を表示する方法には、錆などの記述で【ない・ある(多い・少ない)】といったもの、数値(%)で表すもの、機器の性能数値を点数化し、総合評価が何点以下であれば更新するといった判定方式のもの------など様々なものがある。【ない・ある(多い・少ない)】の表示は3段階と大雑把であり、数値での表示は、%がいくらであれば更新が必要なのか、不要であるのかの、基準が判然としない。また点数化の判定方式には、以下のような問題がある。

・機器を構成する部品各部が並列の重要度で扱われる危険性
 重要度の高い部品には係数を掛けることとしても、その部品が簡単に交換できるものであれば、機器全体を更新をする判断材料とはならない。空調機においては、ファンやモーターなどである。また消耗品に近い、ベルトやベアリング、フィルターなどは、更新を決定する要素に含めること自体に意味がない。

・ 部品が交換されている場合
 劣化速度や腐食速度の異なる部品により構成される機器は、補修やオーバーホールなどにより、一部あるいは大半の部品が交換されている場合が多く存在する。この場合気を付けなければならないポイントは、たとえ大半の部品が更新されていようが、そのキーとなる部分の劣化状態を考慮しなければならないということである。
車に例えれば、エンジンやタイヤ、ミッション等が交換されていても、ボディーがぼろぼろであれば買い換えを検討するように、空調機や冷却塔であれば、ケーシングの劣化状態が、機器全体の寿命を決定することとなるわけである。

論文掲載集 [1] [2] [3]